まこのゆるまいらいふ

日記のようなぶろぐ。simple .🌙

あなたの瞳にうつる私は

 

「久しぶり!」

 

「お!久々じゃん」

 

大学の頃、友達になって私が好きになった人。

私たちお互いは、春から社会人になる。

 

「なんか変わってないね」

 

「はー?なにそれー笑」

 

この人とは会うのは、大学を卒業してから

初めてだ。

 

ノリも雰囲気も性格もそのまま同じで変わらないままだった。普通、大学を卒業したら周りの皆は変わっていく。

けど、この人だけ変わっていなかった。

 

高校生の頃、私は一度フラれたことがある。

そのことはこの人も知ってる。

 

「なんか飲み行こ?」

「いいよ〜、なんか飲みたい気分」

「あはは、今日飲む約束だったじゃん」

 

私たちは、笑いながら歩いていたら居酒屋に

着いた。

 

「ここにしよっか」

と店内に入り、とりあえず一杯目を注文した。

 

「なんか久々だね、会うの」

「そうだね」

 

本当は、会いたかった。

けど、こんなこと言ったら嫌われそうで重いって思われそうで言えずに隠していた。

 

「もう私たち、春から社会人か〜、早いな〜」

「そうだよ笑」

 

君は、いつも優しく聞いてくれる。

愚痴だってそう。

 

「お!きたきた!」

 

一杯目が来て、ふたりで乾杯した。

 

「お互いさ、大学卒業できてよかったね」

「ね〜、あの講師の授業本当わからなかった」

「あ!あの人だろ?確かに俺もわからなかった笑」

「よかった〜私だけかと思った笑」

「きっとみんな思ってるよ」

 

他愛のない話とか、どうでもいい話とか、

昔からの幼馴染みみたいで一緒にいて楽しくて気を使わなくていい所とか、どこか安心できる存在でもあった。

優しくてみんなから頼られる人で、

高校の頃は毎年のようにバレンタインを多くの女子から貰って、毎日のようにモテたらしい。

そんな彼を気づいたら私も好きになっていた。

 

気づけば、四杯目。

 

「大学の頃あんまり会えてなかったね」

「まあ、お互い違ったからね〜」

 

周りのお客さんも減ってきて、

時刻はだんだんと進んでいく。

 

社会人になってしまえば、こうして飲みに行かなくなったり会えなくなると思うとつらくなる自分がいた。

 

「もうそろそろ帰ろっか」

「そうだね、」

 

私たちは恋人でもない、ただの友達。

付き合ってしまえば別れが来る恐怖。

付き合いたいと一度は思った。

けど、付き合ってしまったら友達以上の関係になる。

だから、私はどれだけ好きでも付き合わない。

 

 

 

終電の時間が近づいてくる。

 

私たちは居酒屋を出て、駅に向かう途中

前を歩く君が突然足を止めた。

 

「あのさ」

 

冷たい風とその一言が入り混じる。

 

「どうしたの?」と聞いた。

 

「寒いし、終電ないから家近いし泊まってく?」

 

それは突然だった。

彼は酔ってるのか、正気なのか私には分からなかった。

けど、彼のその表情は"まだ一緒にいたい"

という感情にも私は捉えてしまった。

私もまだ一緒にいたかった。

 

「うん、じゃあお邪魔しよっかな」

 

 

 

そして、彼の家に着いた。

時刻は次の日を回ろうとしていた。

 

「お邪魔します」

 

何気、彼の家に来るのは初めてだ。

 

「ごめんね、汚くて」

 

「え、綺麗だよ」

 

男子の一人暮らしとは思えないほど清潔に保たれていた。

 

「シャワー浴びていいよ」

 

「ありがとう」

 

それからお互いに交代でシャワーを済ませ、

ひとつのベッドでふたり一緒に寝た。

 

私は寝ようとしたそのとき、隣で寝てた彼が

突然抱きしめてきた。

私は不思議な感情になった。

 

「…」

 

次の日の朝、

私が起きると彼は珈琲を淹れていた。

 

「おはよう」

「ごめん、起こしちゃった?」

「ううん」

 

昨日、抱きしめられたことが私の頭を過ぎる。

 

「変なこと聞いてもいい?」

 

突然、彼が珈琲を淹れてた手を止め私にそう、

問いかけてきた。

 

「え?珍しい〜…こんなこといつも聞いてこないのに笑」

 

と私はふざけたように返事した。

 

突然真剣な顔をして

「恋人いる?」と聞いてきた。

 

それは突然すぎて、ここで「あなたがすき」って言えばいいかわからなくなったけど、

 

「いないよ」と返事をした。

 

「…そっか、そうだよね!

居たらそもそも飲みに行かないもんね笑

ごめんね、朝から聞いて」

 

とそう彼は言った。

 

逆に私も聞こうと思ったけど変な空気にはなりたくなかったから聞くのをやめた。

 

 

その日は、彼が駅まで送ってくれた。

 

次いつ会えるかわからない、もしかしたら

お互いこの先好きな人が出来て結婚もするかもしれない。

 

けど、私は「好きな人いる?」という言葉が

喉に引っかかって聞かなかった。怖かった。

 

「ありがとう、またね」

「うん!ありがとう!また」

 

とお互い手を振り、私は電車に乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから春になり、お互い働き始めて

もちろん会うこともなくなった。

 

 

 

充実した日々を送っていた。

 

友達ができていろんな出会いが増えた。

 

 

 

ある日のお昼、私のところに突然一通のメールが届いた。

 

 

開いてみると

 

 

 

「元気?」

 

の彼からの一言だけのメールだった。

 

いつもなら二行ほどなのに一言だけは初めてで驚いた。

私は急いで「久しぶり!元気だよ!」と彼宛に返信をした。

 

一緒にいた友達に「え〜、なになに?彼氏?」と聞かれ、「え〜、違うよ〜、友達〜」と言った。

 

それから久々のメールは続いて、

 

「俺さ、彼女できた」

 

それは突然だった。

 

「え!おめでとう!いつから?」

「一緒に飲み行った一週間前から」

 

私はその文を見てよく分からなくなった。

恋人がいるのにも関わらず飲みに行くのを拒否せず、お家にまで私を呼んで、あの夜抱きしめてきたのはなんで…

やっぱり、友達だからってこと?

 

「幸せにね!」

「ありがとう」

 

それから私たちはまたメールをすることがなくなって、会うこともなくなった。

 

恋人がいるのに、そういうことをする人だとは思ってなかった。

 

やっぱり、男の人って最低だな。

 

 

 

「今日飲み行こう〜?」

「え、どうしたの急に笑」

「もう飲む!!!!ねえええ、飲もう?!」

 

私は入社して出来た女友達とその日、

飲みたくなって朝まで潰れるまで飲んだ。

 

「ねえ、もうやめなよ…明日休みだけどさ〜」

「いいの〜」

「急にどうしたのさ、あんた」

「もう聞いてよおおおぉ(泣)

大学の頃好きだった人が彼女出来て彼女いるのに私を家に誘ったのー!!!!」

「それやばいよ!!!?」

「でしょ〜…もうほんとそんな人じゃないと思ってたのにいいいい」

 

朝まで潰れるまで飲んだ。